一カ月以上を経たマリカナの警官隊による発砲事件の経過ですが、本日9月22日の時点でズマ大統領の発足させた委員会からの報告は出ていません。この藤原一也の南アフリカレポートで「南アの鉱山労働者への警官隊の発砲その3」で(31.08.2012)書き込んだ内容についての新たな事実の確認はほとんどありませんが、この事件の底の深さを見せつけるように、政治的な側面からの南アの人物や団体の動きが連日新聞・ラジオ・テレビなどで報道されています。この時点での私のメモとして報道されたことのいくつかを時系列で書き込んでみます。
①8月31日に各紙が「270人の鉱山労働者が殺人の罪で一斉に告訴される」と書きました。地元のCape Tims紙は見出しが「COMMON PURPOSE' INVOKED Miners chargeed with murder」で、記事中に 「~Ga-Rankuwa Magistrate's Court building to hear what the State's new charge sheet~」との記述があります。
②9月3日には各紙が「鉱山労働者の告訴は保留された」と書きました。地元のCape Tims紙は見出しが「NPA BACKTRACKS ON MURDER ACCUSATION Charges dropped against miners」で、記事中に「~The National Prosecuting Ausority(NPA) has announced that it is provisonally withdrawing murder charges against 270 Lonmin mineworkers ~」と続けました。
③9月4日には地元紙が拘留されていたロンミンの鉱山労働者が第一陣として161人が釈放されたことを報道しました。地元のCape Tims紙は「Released miners claim they were chased, shot by police」と見出しをつけ、「We saw the TV footage, but most things were not there」と労働者の訴えを続けて書きました。9月3日以降から拘留されていたロンミンの鉱山労働者の釈放が続きました。そして、これらの拘留された270人の動向に係わらずロンミンプラチナ鉱山のストライキは続けられました。
④9月6日にはロンミンの鉱山労働者の代表とコサツ、NUMとの間で平和合意(Peace Acord)が取り交わされましたが、Amcuは合意せずに署名を拒否しました。この平和合意にも係わらず、その後もロンミンの鉱山労働者によるストライキは続きました。
⑤9月18日にはロンミンの鉱山労働者側と会社側の合意が成立し平均で22%の賃上げが実現することになりました。地元のCape Times紙は19日に「Lonmin sees light, but mines in trouble Strikers cheer 22% offer」と書きました。例えば、ドリラー(Rock drill oprator)は平均で9063ランド(90630円)だった給与が1875ランド(1875円)増加し、10938ランド(109380円)になるというわけです。
⑥およそ一か月間の攻防を経て、マリカナでの事態は収束に向かっているかに見えますが、このレポート「南アの鉱山労働者への警官隊の発砲その3(8月31日)」で書いたいくつかの疑問はズマ大統領が指示した「Judicial commission」の報告が出されていないことから、解明されないままです。私は賃金をめぐる労使の交渉は一区切りついたとしても、34人が亡くなり、78人が傷ついた警官隊の発砲事件そのものはまだ何も解決していないとみています。引き続きこの課題での社会の動きをウオッチングして、判ったことを報告して行きたいと思います。
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